一発屋様にリスペクトを込めて♡ 今回は皆川おさむの「黒ネコのタンゴ」をご紹介します。
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実はオリジナル曲ではありません。「黒ネコのタンゴ」は世界中で大ヒットしたイタリアの曲の日本語版
【楽曲data】
タイトル:黒ネコのタンゴ
歌手:皆川おさむ
作詞:見尾田みずほ
作曲:マリオ・パガーノ
発売:1969年(昭和44年)10月
「黒ネコのタンゴ」は本当に売れましたよねえ。曲の良さはもちろんのこと、歌詞がこじゃれていて、そして一生懸命歌う皆川おさむの可愛い声。ヒット要素が掛け合わされての結果です。元々イタリアで大ヒットした曲で、あちらでは4歳の女の子が歌っていました。世界で900万枚も売れたそうです。すごすぎますね。
やっとのことで歌うおさむくんがかわいい♡
イタリアのオリジナル版も含め外国で発売されたものをいろいろ聴き比べてみたら、やっぱり皆川おさむが群を抜いてキュートだなと思いました。上手いかどうかというより、とにかく一生懸命なんですよね。この歌は結構息継ぎが難しくて、当時まだ6歳の皆川おさむが苦労して歌っているのがうかがえます。
♪黒ネコのタンゴ、タンゴ、タンゴ 僕の恋人は黒いネコ♪
ってこの部分、一息で歌わないといけないんです。彼は一番では何とか歌えているけれど、二番以降になるとちょっと苦しそうになってきて、最後の♪黒いネコ♪の「コ」の部分が息も絶え絶え、最後の方はちょっと声がひっくり返っちゃったりしています。でもそれが何とも子どもらしくて微笑ましいんです。
♪おいしいエサにいかれちゃって あとで泣いても知らないよ♪
小さい子が歌うにはとてもおませなこの歌詞を書いたのは見尾田みずほ。みおたみずほや見尾田瑞穂名義でも活動しています。関係ないけれど、作家、タレントで元東京都知事でもあった青島幸男が1968年(昭和43年)に出した「意地悪ばあさんのうた」も実はこの人の作詞。
すみません、脱線しました。「黒ネコのタンゴ」に話を戻します。
♪素敵な君が街を歩けば 悪いどらねこ声をかける♪
♪おいしいエサにいかれちゃって あとで泣いても知らないよ♪
意味も分からず歌っているであろうと思うとまたまた可愛いですよね。
イタリアと日本のふたりの小さい歌手は、その後明暗を分けた?
皆川おさむは現在どうしているかご存知でしょうか。なんとひばり児童合唱団の代表になっていました。
実は『ひばり児童合唱団』の創設者である皆川和子さんは、彼の伯母であり、3歳から合唱団に在籍していた皆川氏に『黒ネコ~』を歌わせたのも和子さんだった。
比べると、本家イタリアでオリジナルを歌った当時4歳のヴィンチェンツァ・パストレッリはその後なかなか波乱万丈だったようです。
瞬く間に“天才少女”として注目を集め、レコードは約900万枚も売り上げる空前の大ヒットとなったが、まともに学校に通えず、年上の歌手たちの嫉妬もあって、小学5年で歌の世界を離れる。
それまでのキャリアを捨ててミラノ近郊のパビアにある中学校に教師として赴任。その際、それまで住んでいたレッチェのアパートを経済的に恵まれない50歳前後の女性3人に貸したところ、3人が彼女の名前を利用して買春客を集めたため、12月売春斡旋と麻薬売買容疑で逮捕され、一審で懲役3年4ケ月の実刑判決を受けた。
結局、大ヒットとなってしまったことが2人の人生を大きく変えることになったわけですが、それにしても女の子の方、名前を使われてしまって「逮捕」「実刑」ってツライものがありますね。
「黒ネコのタンゴ」、もう一度聞き返してみたくなりましたか?レコードB面の置鮎礼子の「ニッキニャッキ」もとても面白い曲なので、また今度ご紹介したいと思います。