一発屋様にリスペクトを込めて♡ 今回は円広志の「夢想花」をご紹介します。
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「夢想花」はポプコンと世界歌謡祭のグランプリ曲
【楽曲data】
タイトル:夢想花
歌手:円広志
作詞:円広志
作曲:円広志
発売:1978年(昭和53年)11月
円広志の「夢想花」と言えば、♪とんでとんでとんでとんでとんで♪のフレーズが有名過ぎるほど有名ですね。この曲はヤマハポピュラーソングコンテスト(通称ポプコン)で第16回のグランプリをとりました。ちなみにその前年のグランプリは世良公則&ツイストの「あんたのバラード」です。グランプリをとると、同じくヤマハの世界歌謡祭に出場できる仕組みだったのですが、そこでもグランプリをとり大ヒットとなりました。
大阪環状線が「夢想花」を採用?そのワケは?
JR西日本は、2015年3月より「夢想花」のメロディーを大阪環状線福島駅の発車メロディーとすると発表しました(詳細はこちら)。「大阪環状線改造プロジェクト」の一環として各駅の発車メロディーが決められた中でのことです。「周回の環状線にちなんで」が「夢想花」選択理由だそうです。
傷心を描いた歌詞にぐっとくる
「夢想花」は♪とんでとんでとんでとんでとんで♪があまりにも強烈で、CMなどで替え歌も多く作られたようで、面白おかしく取り上げられることが多いですが、実際の歌詞は失恋した女性の心を細やかに描いたものです。
♪忘れてしまいたいことが、今のわたしには多過ぎる♪
そう始まる歌詞は、失恋し笑顔を失ったヒロインが、相手の男性から過去にもらった野の花がノートに挟まれているのを見つけ、蝶になって花の中を飛び続けることを夢想する、という内容になっています。
恋を失った悲しさ、切なさに耐えきれず、しばし現実から逃れて夢の中を♪とんでとんでとんでとんでとんで♪ ♪まわってまわってまわってまわる♪のです。かつて男性と過ごした甘い日々が、花とその蜜を求めてとびまわる蝶に重ね合わされているようです。
歯切れよさが逆に物悲しい
円広志はこの悲しい歌詞を、でもとても歯切れ良く歌っています。これがデビュー曲だからか、当時の録音では声が少し緊張しているようにも聞こえます。その緊張が微かなビブラートを生み、聴き手からするとヒロインの心の揺れが感じられます。
大ヒットの裏では、パニック障害と闘う日々
円広志は実は長年パニック障害に苦しんでいたことを告白し、同じ病に悩む人のためにエールを送る本「パニック障害、僕はこうして脱出した」を出版しています。明るく面白い人だとお見受けしていましたが、実は大ヒットの裏で大変な思いをされていたんですね。
歌詞や歌い方、パニック障害のことなどを考えながらあらためて「夢想花」を聴くと、♪とんでとんで♪だけではない、この曲の”深さ”が見えてくるような気がしました。